ozieビズポロ販売数は微減。
2012年のクールビズ市場は低迷。
2005年に環境省の呼びかけて始まったクールビズキャンペーンにともない、ワイシャツメーカーのozieでは、2008年より素肌に着られるワイシャツ=「ビズポロ」を開発、販売を開始した。ポロシャツの素材としてなじみのあるニット(鹿の子)生地で、ポロシャツにはない台衿や前立て・カフスを付けた、いわゆる前開きポロシャツは、吸汗速乾で着心地もよく、ビジネススタイルにも着用できるので、夏の主力商品となっている。
発売以来の販売枚数を見ると、初年度は長袖のみの取り扱いで1,596枚を販売。翌2009年から半袖が加わり販売枚数1,825枚、2010年は2,237枚と、前年比115%、125%増と順調に販売枚数を伸ばしてきた。
2011年、2011年、東日本大震災に起因する電力不足から、節電対策のためにクールビズが加速。この年の販売枚数は前年比約250%の5,570枚を記録。電力不足が深刻化しなかった2012年は一転、アパレル業界全体ではクールビズは不調に終わり、ozieでは今年度ビズポロ販売枚数は5,001枚と微減となった。(2012年9月末現在)
アンケート調査ハイライト
求められたのは、節度のあるクールビズ
ozieでは今年5月に一般募集と弊社ネットショップozie(オジエ)会員から募集した合計303名に「クールビズに関するアンケート」を実施した。そのうち20 代〜60 代の男性287名の回答から以下のことがわかった。
クールビズ 決め手は「お客様」より「社内」の目
クールビズ実施で服装はどのような基準で決定していますか?(複数回答可)
回答人数287 人
上司や同僚など職場での許容範囲56%、次いで自分の好きなスタイルが45%、第3位のお客様の目を気にする人の36%を大きく上回る。
「前開きポロ」はOK 「かぶりポロ」はNG
もし職場で同僚や部下がしてきたらNG のクールビズスタイルは?(複数回答可)
回答人数287 人
「もし職場で同僚や部下がしてきたらNG のクールビズスタイルは?」の質問に対して、「T シャツ」との回答が最も多く82%、次いで「ポロシャツ(一般的な被るタイプ)」31%、「前開きポロシャツ(Y シャツタイプ)」が8%だった。ポロシャツをNG とする回答は前開きポロシャツの3.8 倍となり、「かぶりポロ」と「前開きポロ」では許容度に大きな差があり、節度のあるクールビズが求められていることがわかった。
機能性クールビズシャツ浸透に「認知の壁」と、「購入機会の壁」
昨年の夏、着用した機能性クールビズシャツを教えてください(複数回答可)
回答人数135 人 [ozie 会員を除く*]
*ozie会員はクールビズシャツに関する認知が高いと考え、会員を除いて集計。
【ビズポロ】ビジネスポロシャツの略で、ビジネス仕様のニット(鹿の子)素材のシャツ。
【クールマックス】綿と比較して5 倍の速さで汗を吸収・蒸散する新素材。
【アイスコットン】高い熱伝導性を持つ素材を利用しており、体の熱を吸い取るコットン。
近年様々なクールビズシャツが登場しているなか、「昨年の夏、着用した機能性クールビズシャツを教えてください」の質問には、36%が「着用しなかった」と回答した。
さらに、着用しなかった人に対してその理由を聞いたところ、「知らなかった」と答えた人が55%。「欲しいと思っていたが機会がなくて買えなかった」と答えた人が27%だった。クールビズシャツの浸透には、認知と購入機会の壁が存在するようだ。
クールビズ実施と言っても、
企業によって許容度に大きな差
実際にクールビズを導入している都内の大手メーカーに勤務する30代男性に話を聞いたところ、会社自体は2005年のクールビズ開始当時から取り組みを開始していても、社内的な雰囲気から、その許容度は決して広くはないという状況だという。例えば、クールビズに関する社内規定は存在するものの、着用してはいけない服装の限度の決めているだけで、クールビズを必ずやらなくてはいけないという規定ではなない。そのため、現在でも役員はほとんどジャケットを着用していることが多い。社内、特に上司の目を気にして、どこまで実施するかは、非常に悩む部分があり、ビズポロや機能性素材などの新素材を使ったシャツについては、着用しずらい雰囲気があるという意見があった。さらなる浸透には経営陣、管理職が率先してクールビズを実施する必要がありそうだ。
クールビズに副次的効果も。
上司の率先した取り組みに期待!
2005年に省エネルギーを目的に開始され、2011年に大きな盛り上がりを見せたクールビズではあるがそのメリットについて質問したところ、「通勤や勤務中の疲れが減った」という声が多く聞かれ、省エネを達成しながらも暑さを軽減できたことがわかった。
また、クールビズの省エネ以外のメリットについての質問には、「CSRとしての側面」(30代男性・IT業界)、「職場の雰囲気が明るくなり、コミュニケーションが活性化された」などの意見があった。
昨年に比べると、注目度も低く終わった2012年のクールビズだが、ozieが行なったアンケートやインタビューの結果から、スタイルの決め手は社内の目を気にして決定されていること、節度のあるスタイルが求められていることがわかった。さらにクールビズには、省エネをしながら暑さをしのぐという直接的な効果だけでなく、コミュニケーションの活性化、CSR効果など、副次的な効果があるという声もきかれた。インタビューでは社内、特に上司の目が新しいクールビズスタイルを取り入れる障壁となっていたが、副次的効果のためにも上役から率先して新しいワークスタイルにチャレンジして欲しい。