2023.09.20 ワイシャツの背中のデザインによって着心地は変わりますか?
ワイシャツの背中はいくつかデザインがあります。
ダーツとかプリーツとか、お店によってはタックと言ったりしますが、これらのうちの一つがワイシャツの背中に入っていることがほとんどです。(まれに入っていないワイシャツもあります。)
この背中のデザインのことで、先日お客様から質問をいただきました。
それは「ワイシャツの背中のデザインによって着心地は変わりますか?」というものでした。
ozieのシャツの基礎知識ページに仕様については書いてあるものの、着心地などについては書いていなかったので、今回はこのご質問にお答えしたいと思います。
目次
♦動画目次
00:00 ワイシャツの背中のデザインによって着心地は変わりますか?
01:34 ワイシャツの背中のデザインの種類について
02:50 なぜ数種類にわたる背中のデザインがあるのか?~目的について
06:42 ozie│オジエのワイシャツはどの背中のデザインが多いか?
10:14 (補足)フロントダーツについて
11:25 まとめ
♦ワイシャツの背中のデザインの種類について
①サイドプリーツ
②センターボックスプリーツ
③バックダーツ(背ダーツ)
主にこの3種類があります。
また、ごくまれに背中に何もデザインが入っていないワイシャツもあります。
基本何かしら入っているワイシャツが大半ですので、何も入っていないデザインのワイシャツは私自身はあまり見たことがなく、最近はほとんど見かけることはないと思います。
①サイドプリーツ
②センターボックスプリーツ
③バックダーツ(背ダーツ)
♦なぜ数種類にわたる背中のデザインがあるのか?~目的について
なぜこれだけ背中のデザインがあるのか?
これには目的があります。
プリーツとダーツで目的が違います。
プリーツは、背中上部のヨークという台形型のパーツの左右や真ん中にひだを入れたものです。
なぜこのプリーツを入れるかというと、肩回りを動かしやすくするためにひだを作って動いたときにひだの分だけ肩回りに余裕ができるからです。
サイドプリーツとセンターボックスプリーツ、プリーツを入れる場合によく用いられるのはサイドプリーツです。
サイドプリーツは、肩に近い部分にプリーツがあってより腕を動かしやすくなります。
センターボックスプリーツは、アメリカのブランドのシャツ=とりわけボタンダウンシャツに多く用いられるディティールです。
センターボックスプリーツは、真ん中にプリーツがあるので、腕を動かしやすくするというよりは動いたときに背中に余裕を持つ、的な考え方が強いかなと思います。
一方ダーツは、後ろ身頃の左右を後ろでつまんでダーツを作ることによって、胸囲の下あたりからウエスト回りを細くシャープにするために用いられます。
ダーツを入れる場合はヨーク下のプリーツは基本入りません。
どちらかが入る形が基本です。
ごくまれに両方入っているシャツもあるようですが、それはカジュアルシャツの類になるかと思います。
ということでバックダーツの場合、胸囲を細くしすぎるとプリーツがなく、さらに脇下からウエスト回りまで細くなるので動きずらくなることがあるかもしれません。
♦オジエのワイシャツはどの背中のデザインが多いか?
ozieのワイシャツのほとんどはバックダーツです。
プリーツが入ったものはごく一部のみの取り扱いとなっております。
これは現状細身のシャツをお探しの方が多いことを鑑みて、バックダーツを採用しておりますが、ozieのワイシャツのウエスト回りはそれほど細くしておりません。
また肩回りの動きを考えて、胸囲もあまり細くしていません。
なのでシルエット的にはシャープに見えながら着心地が悪くなることはほとんどないはずです。
ozieのシャツはややゆったりしているといわれることがたまにありますが、こういう経緯から少しゆったり作っているのが要因の一つです。
ちなみにダーツは背中の真ん中左右をつまんで縫うことでウエスト回りの背中部分を細くしています。
なので理論上では左右のダーツの糸を外すことにより、ウエスト回りがつまんでいた分だけ大きくなります。
ウエスト回りが大きくなって今まで着ていたバックダーツ入りのシャツが着用できなかった場合は、そうすることでもしかしたら着用できるようになるかもしれません。
ただし、ozieとしてはダーツを外すことはしていませんし、おすすめもしていません。
ダーツを作ってワイシャツにすることできれいに着用できるようなパターンになっているのが一つと、糸を外すのはそんなに簡単なことではないので、外す時に生地を破ってしまうかもしれません。
なのでozieではバックダーツを外すことは一切おすすめしていませんのでご了承ください。
♦フロントダーツについて
ダーツの話で言えばメンズのワイシャツではあまり例がなく、メンズのカジュアルシャツやレディースシャツでたまに見かけるダーツがあります。
それはフロントダーツです。
後ろだけでなく前身ごろのウエスト回りに左右2本のダーツを作って、さらにウエスト回りを細くする仕様です。
バストが大きくてウエストが細いレディースシャツでは納得ですが、メンズでそこまでウエスト回りを細くする理由があまりないのでほとんど見かけません。
参考までということでお伝えしておきます。
ということで背中のデザインによって着心地が異なるかと言えば、違いますというのが答えです。
ですがそもそもの目的が違うので、プリーツ・ダーツのどっちがいいかという話にはなりません。
プリーツは肩回りを動かしやすくはなるものの、ウエスト回りが細いシャツはあまりありません。
プリーツ入りのシャツでウエスト回りを細いシャツを作ろうと思うと、全体的に細くなりがちですし、たとえしたとしても脇縫いのカーブが大きくなるので、縫製技術が必要になってきます。
逆にひだによるテンションはないものの、胸囲にゆとりを持たせてウエスト回りを細いシャツを作るにはバックダーツを作る方が最適です。
着心地は若干異なるが、目的が違うのでどちらがいいという問題ではないということを覚えておいてください
♦まとめ
ワイシャツの背中のデザインによって着心地は変わりますか?
【結論】変わります。ですが各デザインのそもそもの目的が違うので、それがいいという問題ではないです。
・サイドプリーツ、センターボックスプリーツ
肩回りを動かしやすくするために作られている→ウエスト回りが細いシャツは少なめ。
・バックダーツ
胸囲の下あたりからウエスト回りを細くシャープにするために用いられる→、プリーツがないため胸囲を細くしすぎると、さらに脇下からウエスト回りまで細くなるので若干動きずらくなることがあるかもしれません。
・背中に何も入っていないシャツもあることはあるが、最近はあまり見かけない。
プリーツかダーツ、どちらか一方が入る形が基本です。
ごくまれに両方入っているシャツもあるようですが、それはカジュアルシャツの類になるかなと思います。
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