2019.09.05 / 形態安定シャツの基礎知識
ozieで非常に人気が高い素材。
それが形態安定シャツです。
今回はそんな形態安定シャツについてご紹介していきます。
目次
♦動画目次
00:00 形態安定が好まれる理由
01:50 形態安定加工の種類①形状記憶
03:45 形態安定加工の種類②形態安定加工
04:21 形態安定加工の種類③イージーケア
05:13 防しわ性があるのはどれか
05:45 風合い(着心地)が良いのはどれか
08:46 加工の継続期間、おすすめのお手入れ方法
10:54 形態安定加工に絞ったお話
14:14 まとめ
♦形態安定が好まれる理由
形態安定シャツは、前述のとおり非常に人気のある生地です。
この背景にはやはり、お手入れが簡単というところにあるのかなと思います。
特に一人暮らしの方に言えることですが、クリーニング店を利用した場合、着用済みのシャツをクリーニングに出す、また、とりにいくということが非常に大変ですよね。
夜遅く帰宅するような状況だと、10枚シャツを持っていたとしても、余裕があるかといわれるとなかなか難しいのではないでしょうか。
さらに大きな部分でいけば、経済的な面があります。
会員になると150円程度の値段でお願いできるようになっていますが、それでも枚数が重なれば塵も積もれば山となるではないですが、かなりの金額が発生します。
それを考えるとできればご自身でアイロンがけしようというときに、加工のない商品ではアイロンがけが大変です。
誰もがアイロンがけはなるべくしたくないという希望がある中で、防しわ性の高い商品がいいなということで探されているようです。
オジエの商品は形態安定シャツのバリエーションが豊富にあるため、ネットでお探しいただきご興味をお持ちいただいているのかなと考えています。
ご来店いただき採寸されたりその場でご購入される方が非常に多いです。
♦形態安定加工の種類①形状記憶
形態安定といっても、いくつか種類があります。
まずご紹介するのが、形状記憶というものです。
形態安定と形状記憶は違いを分かっていらっしゃらない方が結構多いんですが、私共では形状記憶という商品は販売がありません。
この名称は、紡績メーカー東洋紡さんの商標登録になっているため、東洋紡さんのみ使用できる言葉です。
形状加工はシャツを生産し、その後特殊な機械に通します。
そこからガスを吹き付けシワができないようにハンギングし、形を作ってしまいます。
この工程をおこなうことにより、しわになりづらいシャツが出来上がるということです。
前述のとおり形状記憶という言葉は商標登録のため、海外では略式は定かではありませんがVP加工などと言っています。
この加工については、機械が高額で、価格に見合うだけの収益性が保てないという部分があり、世の中では減りつつある現状です。
♦形態安定加工の種類②形態安定加工
次にみなさんが一般的に使用されているのが形態安定加工です、
この方法は生地の段階で薬品に長時間つけて、しわができないようにします。
それを製品化したものが形態安定加工です。
生地を作ってすぐに薬品につけることで非常に大きなスペースがあるので簡単にできるというメリットがあります。
そういったことからも幅広く、様々なところで作れるようになってきています。
♦形態安定加工の種類③イージーケア
最後の3つめ、イージーケア加工についてご紹介です。
これは形態安定加工よりも簡単で、どちらかというと防しわ性というよりは洗濯後のアイロンがけを楽にするという意味合いが強いです。
そのため、しわはできやすいです。
ただアイロンがけはとても簡単になります。
店長である柳田もたくさん着用しており、アイロンがけを自身でおこなっておりますが、イージーケアのかかっていないシャツと比較すると半分ほどの時間でアイロンがけできます。
経験からいっても全然違うなと感じます。
♦防しわ性があるのはどれか
3種類それぞれの特徴をご紹介いたしましたが、どの順番に防しわ性があるのかという観点でみると、もっとも性能が高いのは形態安定加工です。
ただ世の中では減りつつある加工ではあります。
次に防しわ性があるのは形態安定加工です。
広く一般的に使用されている加工です。
3番目にイージーケアですが、こちらはもっとも防しわ性は少ないです。
防しわ性というよりお手入れのサポート(アイロンがけしやすい)というポイントが高いです。
♦風合い(着心地)が良いのはどれか
では、今後は風合い、着心地や肌触りはどうかというと、これはあくまで一般的にということでご覧いただきたいです。
加工によっては順番が前後する場合もありますが、一般的にはもっとも風合いが良いのはイージーケア加工です。
これは薬品につける時間が短いから、といった理由があげられます。
風合いが良いという意味では、良い生地の良い部分のを生かしてアイロンがけを楽にするという趣が強いため、この加工は良い生地にかけることがもっとも適しているとオジエでは考えております。
私共は別注でイージーケアをかけることがありますが、それは120番手双糸のとても良い生地に依頼をしています。
なぜならば、120番手双糸という良い糸を使用した生地は非常に糸が細く、繊細で柔らかく肌触りが良い反面、その分しわがつきやすく、跡も残りやすいからです。
加工が何もかかっていないとアイロンがけがとても大変なんですが、イージーケア加工をかけてあげることで非常に楽になります。
そういった理由で、私共で販売している120番手双糸以上のシャツは、自分たちで別注して作る場合は必ずイージーケア加工をかけて製品化している現状があります。
この考えをお話するとすべてかけたほうが良いのでは?と考えも浮かぶかと思いますが、そういうことでもありません。
勘付かれているかたもいらっしゃるかと思いますが、薬品に着けるということは、本来の何もかけていない状況と比較してみると、若干生地が硬くなったりと風合いが落ちるのです。
「なぜそのような良い素材のものに薬品をつけてしまうのか」という考えがシャツ業界の常識としてあることも事実です。
ですがオジエでは、あえてアイロンがけが楽な方が良いよね、との想いから加工しています。
その次に風合いが良いのが形態安定加工です。工程の最後にガスを吹き付けてしわができないように形を作ってしまう形状加工は、張りがでるという意味で風合いには劣るかなというのが現状です。
この風合いについても様々な加工をすることで順番が前後することがありますが、一般的にはこの考えて違いないと思います。
♦加工の継続期間、おすすめのお手入れ方法
ここまで加工についてお話してきましたが、どれだけ防しわ性が強力でも、加工ではあるので効果が半永久的に続くわけではありません。
どの加工がされているシャツも、いずれアイロンがけは必要になる、ということは覚えておいていただきたいです。
この話を踏まえて、日ごろのお手入れはしわができてもご家庭でお洗濯していただき、しわの気になる部分をアイロンがけしていただくことを強くおすすめします。
形状記憶や形態安定加工の記事を使用したシャツには「永久接着芯」という芯地を使用する必要があります。
この芯は、生地と生地をべたっと貼り付けるんですが、それをやることで洗濯してもしわができなくなっています。
襟の他にカフス部分にも使用しますが、このふたつの箇所は目立ちやすい部分のためしわができないよう、この永久接着芯を使用しましょうというわけです。
とても良い芯ですが、この芯は実はクリーニング店が使用するような熱いお湯やプレス機の熱に弱いです。
熱に弱いということは、その部分が縮みやすいということを意味します。
最近では縮まないようなものを使用しているため、実際に縮んでしまったというお客様のお問合せはほぼないような状況ですが、そういった事情からできる限りご家庭でのお手入れをしていただくことをおすすめいたします。
もしもクリーニングにお出しになる際は、その旨お伝えしていただけるとより長く綺麗にご利用いただけます。
♦形態安定加工に絞ったお話
最後になりますが、形態安定加工が広く一般的なため絞ってご紹介します。
素材的には、形態安定加工の中でも綿ポリエステル混のものがもっとも防しわ性が強いです。
元々ポリエステルはしわができづらいため、ポリエステルのみ使用している生地感が防しわ性はもっとも強いです。
ですがポリエステル、綿ポリエステル混合だとカサつきを感じられることがあるようです。
そうなると綿100%の形態安定が良い、となりますが、綿は元々素材の特性として、しわになりやすい傾向です。
とにかく防しわを優先するのであれば綿ポリエステル、着心地もお楽しみいただきたいのであれば綿100%が良いですね。
綿100%素材を選ばれる場合、防しわ性の観点でお伝えすると、洗濯後にしわができる回数が早くなりますが、加工がかかっていればアイロンがけはしやすいです。
オジエとしては肌触りが良いものをできる限り簡単にお楽しみいただきたいというコンセプトがあるため、綿素材の形態安定加工はまだお持ちでない方にはお試しいただきたいです。
品揃え、クオリティ共に自信のある商品なんです。
「ほかのお店でもたくさんあるんじゃないんですか?」とのお声をいただくことがありそうですが、実は一般的な流通はかなり少ない素材が形態安定加工です。
私共は別注でつくっております。
方針として変わらずに生産販売を続けていきますので、皆様にもたくさんご紹介ができるかなと考えております。
♦まとめ
一見同じように見えるシャツでも、加工の有無、素材の違いにより特徴がまったく異なります。
皆様お好みの肌触りやご予算も異なることと思いますが、特徴を理解し快適なシャツライフをお楽しみいただくための知識としてご覧いただけたらなと思います。
関連リンク
シャツを着こなす基礎知識 ~形態安定、形状記憶、イージーケアの違いとは~