2025.02.21 /
スーツスタイリングにライセンスを:007に学ぶ装いの美学【劇中のスーツスタイル】

私は映画が好きで昔から色々見ていますが、その際に注目してしまうのが出演されている男性のスーツやジャケットスタイル。
私が見た中でスーツスタイルが印象に残っている映画やシリーズものの解説を、私独自の視点でお話していく【劇中のスーツスタイル】というコーナーを新設しました。
今回は、映画『007』シリーズのジェームズ・ボンドが見せるスーツスタイルについて独自の視点で解説していきます。
特に最新5作品、2006−2021年のジェームズ・ボンド=ダニエル・クレイグ中心にお話していきます。

ozie|オジエ 映画『007』シリーズのジェームズ・ボンドが見せるスーツスタイル

 

♦動画目次

00:00 スーツスタイリングにライセンスを:007に学ぶ装いの美学【劇中のスーツスタイル】
01:15 007のスーツブランドの変遷
04:54 ダニエル・クレイグ版ボンドのスーツスタイルの特徴
04:58 サイズの寸法変化について
08:01 なぜダニエル・クレイグ版ボンドはタブカラーシャツを着ているのか?
10:07 ビジネスマンが007から学べること

♦007のスーツブランドの変遷

まずはダニエル・クレイグが着用していたスーツのブランドについて。
ご存じの方も多いと思いますが、トム・フォード(TOM FORD)です。

ozie|オジエ 007でダニエル・クレイグが着用しているスーツ=トム・フォード(TOM FORD)

厳密には2-5作目がトム・フォードで、1作目カジノ・ロワイヤルでは前任者のピアース・ブロスナンが着用していた、ブリオーニのスーツを着用していました。
ブリオーニは、90年代のラグジュアリーを象徴するイタリアンスーツで、ボリュームのある肩とシェイプされたウエストの英国風シルエットが特徴です。

ozie|オジエ ブリオーニのスーツ

一方トム・フォードはシャープで洗練された現代的なデザイン、かつタイトフィットで動きやすさを兼ね備えたスーツです。
生産はエルメネジルド・ゼニアが行っています。

ブリオーニからトム・フォードへ変わった理由は諸説色々ありますが、トム・フォードの「力強く、タフ、セクシー」というブランド哲学が、クレイグ版ボンドの「肉体派で実用的なスパイ像」に合致しているのが一番かと思います。
それがあってトム・フォードはアクションシーンに耐える耐久性と、動きやすさを両立するため、高品質な素材(ストレッチ)と立体裁断を採用しています。
ダニエル・クレイグの鍛え上げられた体型を強調するため、肩パッドで上半身を強調し、ウエストを絞った「オコナー」モデルを開発し、それを一般販売しました。

ozie|オジエ ウエストを絞った「オコナー」モデル

なぜイギリスのスパイなのにイタリア製のスーツを身にまとっているのかが個人的には気になりました。
ここからは推測の部分が多くなりますが、まずはいずれのブランドもアメリカのアッパー層に絶大な人気があるブランドであることが一つかなと思ってます。
そもそも007の生い立ちがアメリカ市場を意識して制作されていて、アメリカで人気のスーツブランドを採用することにより、注目をより浴びようとしていたのではと思うのが一つ。
あとはガチガチの英国調よりエレガントさをミックスした英国風スーツを作る=英国とイタリアの美意識の融合のようなものを表現するのが両者得意というのもあると思います。
事実トム・フォードはダニエル・クレイグにフィットする英国風スーツを開発・量産化してビジネス的にも成功を収めています。

♦ダニエル・クレイグ版ボンドのスーツスタイルの特徴

ダニエル・クレイグのボンドのスーツスタイルの特徴について、私の印象をお話します。

《タイトフィットなシルエット》

前述の通り、トム・フォードはダニエル・クレイグのジェームズ・ボンド用に「オコナー」というモデルを開発し提供。それだけでなく量産化して販売しています。

オコナーモデルの特徴としては
・ウエストを絞り、肩幅を強調
・動きやすいストレッチ素材を採用

英国風のシルエットだけどエレガント、かつ動きやすさを加味してストレッチ素材を採用しているところがポイントです。

ozie|オジエ オコナーモデルのスーツ・タイトなシルエット

《シンプルなカラーバリエーション》

・ネイビー、チャコールグレー、ミディアムグレーが中心。
  無地だけでなくストライプやチェック柄も結構多い。
・ワイシャツは白無地・サックス無地でソリッドタイを合わせる

ビジネスマンが誰でもできるシンプルなコーディネートが特徴です。
皆様も是非参考にしてみてください。

ozie|オジエ シンプルなカラーバリエーション②

ozie|オジエ シンプルなカラーバリエーション①

《ディテール(アクセサリー)のこだわり》

・ネクタイは通常幅、ナロータイも時折見かける。
  結び方は、基本ディンプルが入っているプレーンノット
・ポケットチーフは白のチーフをTVフォールドで挿しています。  
・ワイシャツはレギュラーカラーやタブカラーを多様。ピンホールカラーも見かけます。

それまでのボンドはワイドカラーが多かったが、2作目のトム・フォードに切り替わってからはワイドカラーは見かけなくなりました。
また、タブカラーでダブルカフスなのが特徴です。
現代ではトム・フォード以外では既製品で全く見かけない代物です。

ozie|オジエ ナロータイのコーデ

▼レギュラーカラー
ozie|オジエ レギュラーカラー

▼ピンホールカラー
ozie|オジエ ピンホールカラー

♦なぜダニエル・クレイグ版ボンドはタブカラーシャツを着ているのか?

ここで気になるのがダニエル・クレイグのボンドはよくタブカラーシャツを着用しています。
それほどメジャーではないタブカラーを何故着用しているのか?

1. 20世紀に英国王室で流行したスタイルをモダンに再解釈したのが一つ。
2. 視覚的にはダニエルクレイグの小顔を活かすためと言われているのが一つ。
 ・タブカラーがネクタイ結び目を上方に引き上げるので、結び目が小さくなり小顔を活かせる。
 ・立体感のある襟元が顔周りをシャープに見せ、スーツ全体のシルエットバランスを調整する。

オコナーモデルはトム・フォードにしては珍しくラペル幅が太くないです。なのでタブカラーとの相性は抜群です。
機能的にはアクションシーンでもタブがネクタイの位置を固定しているので、結び目が緩まないというのが言われています。

とにかく007でタブカラーはダニエル・クレイグしか着ていない。
タブカラーシャツはクレイグ版ボンドのアイコン的アイテムと言えると思います。

ozie|オジエ タブカラー

♦ビジネスマンが007から学べること

私が007のスーツスタイルをみて、参考にする点を挙げるとすれば下記でしょうか。

✔ シルエットを意識する:フィット感を大切に
✔ シンプルなカラーを選ぶ:ネイビーやグレーで洗練された印象に
✔ ディテールにこだわる:ネクタイの結び方やシャツの襟型も重要
✔ 機能性も考える:動きやすさとフォーマルさのバランス
✔体を鍛える:スーツが似合う体にする

ご興味あれば、是非ダニエル・クレイグ主演の007シリーズ5作を見て確認してみてください。
2作目からブランドが変わり、雰囲気も変わるのでそのあたりの違いをチェックするのも面白いかなと思います。

♦関連商品

⇒ タブカラーシャツ商品一覧

⇒ ピンホールカラーシャツ商品一覧

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