2024.09.20 形態安定とノーアイロンってどう違うんですか?
先日お客様から、こんな質問をいただきました。
「ワイシャツはコットン100%で、最近はほぼノーアイロンや形態安定の生地ばかり選んでいます。オジエでは、なぜノーアイロンの生地をラインアップに加えないのでしょうか?」
なるほどと思いました。
なぜなるほどと思ったかは後でお話するとして、今回は形態安定とノーアイロンの違いについてお話いたします。
♦動画目次
00:00 形態安定とノーアイロンってどう違うんですか?
00:50 形態安定加工とは?
04:22 形態安定の基準
09:07 ozieがノーアイロンと呼ばない理由
13:58 まとめ
♦形態安定加工とは?
ビジネスシーンでポケットチーフを挿すのはありかなしか?でいえば、結論はありです。
まずそもそも形態安定とはどういう加工なのか?
これについては過去に関連動画2本UPしております。
この2本をご覧いただくことで形態安定加工についてはご理解いただけると思います。
(ページ下部にリンクをご案内しております)
形態安定のお話で2本話せるくらいなので、そもそも形態安定とはという説明をしているとそれだけで時間を取ってしまいますので、今回詳しく形態安定加工の説明をすることは割愛いたします。
♦形態安定の基準
「ノーアイロン」と呼ばれているシャツに基準はあるかと言われると、基準はありません。
シワができにくいシャツ=後ほど説明しますが ”W&W性4級以上のシワの出来にくいシャツ” を総称としてノーアイロンシャツとかノンアイロンシャツとかと呼んでいることが多いです。
ではノンアイロンシャツと形態安定シャツという使っている言葉の違いで防シワ性が変わるかといえば明確に基準がないので正直わからないというのが答えです。
●形態安定については基準があります。
“W&W性と書いてウオッシュ&ウェア性” と呼びます。
洗濯後のシワの残り具合を表す指標ですが、この等級が3.2級以上のものが ”形態安定” と表示できるという決まりになっています。
①W&W性5.0級 ➡アイロンがけ後のシワのない状態シワカット率100%
②W&W性4.0級以上 ➡同シワカット率90%→よくノーアイロンと呼ばれますが定義はありません。
③W&W性3.2級以上 ➡同シワカット率50%→3.2級までが形態安定と表記できる
④W&W性2.5級以上 ➡イージーケア加工
ここでポイントなのが、W&W性は綿100%・ポリエステル・綿ポリエステル混紡・ニット生地といった素材ごとに基準値があるのではなく、全部の素材ひっくるめて同じ基準になっています。
さらに同じ基準値でも、織柄が入ったドビー生地とブロードをはじめとする平織生地ではシワの目立ち方が違って見えます。
過去の経験上、ドビー生地のほうが織り柄が入っているためシワが目立ちにくく、平織生地はツルッとしていて表面に凹凸がないので若干目立つかなと感じます。
少し話がそれますが、よく ”W&W性4級以上・ノーアイロン” と書かれている商品や ”超形態安定” と謳っているシャツの殆どは純粋な綿100%ではありません。
綿100%以外のポリエステル・綿ポリエステル混紡・ニット生地を使用しているシャツがほとんどです。
ですので、防シワ性を重視するのであれば、そもそもが綿100%以外のポリエステルやポリエステル混紡、シャツ生地ではなくニット生地のワイシャツを選ぶほうが確実です。
それでもたまにW&W性4級の綿100%のノーアイロンと呼んでいるワイシャツが極稀にあります。
ニット生地ではなくシャツ生地でですね。
これはシワをできにくくする=生地を少し固くするということになります。
なので綿100%の本来の売りである着心地の良さを少し消すことになります。
綿100%のシャツ生地に限って言えば、防シワ性=W&Wの向上は着心地の良さが少しなくなるというトレードオフになるとお考えください。
♦ozieがノーアイロンと呼ばない理由
ozieで販売している綿100%形態安定シャツはW&W性で言えば3.2−3.5級です。
基本は80番手双糸のプレミアムコットンを使用したワイシャツになります。
ただ形態安定加工をかけただけだと前述の通り若干生地が固くなるので、液体アンモニア加工と言う加工を施して防シワ性そのままに生地を柔らかくして肌触りの良い綿100%になるようにしております。
形態安定加工は冒頭でも申し上げた通り洗濯を繰り返すとその効果が少しずつ弱くなっていきます。
防しわ効果に関しては半永久的ではないということです。
ただ洗濯後のアイロンがけが楽という効果は長続きします。
ですので私共としては、そもそもしわができやすいが着心地の良い綿100%は形態安定加工をかけてもノーアイロンと呼ばず、逆にお手入れは楽ですよとお伝えしています。
これが、ozieでは綿100%形態安定をノーアイロンと呼ばない理由です。
私個人的には、自社の綿100%形態安定シャツを好んで多用していますが、ネットに入れて洗えば個人的にはしわは気にならないのでアイロンがけをすることはほぼありません。
120番手双糸の高番手のイージーケア加工のワイシャツも取り扱っていますが、それも同様にネットに入れて洗ってアイロンがけをすることは殆どありません。
しかしながら、これは前述の通り、シワの付き方の許容範囲は人それぞれなので、確実にアイロンがけをしなくてもいいということをお約束できるわけではないということはご承知おきください。
だからノーアイロンて呼ばないんです。
当店ではポリエステル100%を使ったW&W性4級のシャツを扱っていますが、それでもノーアイロンとは書いていません。
シワの付きにくいシャツに関してお伝えするとすれば、ノーアイロンに近い状態のシャツを重要視してシャツ選びをするのであれば、綿100%にこだわらないほうがいいかなと思います。
私共のお店にお越しくださったお客様のお相手をしていて、何を一番重要視するかをお伺いした際に、洗濯後の手入れが楽な方が良いという方には、ポリエステル100%やニット生地と言ったそもそもしわが入りにくい素材を使用したシャツをまず一番におすすめします。
大前提として冒頭でもお伝えしましたが、綿100%はしわが入りやすい素材だからです。
最後にozieで取り扱ているワイシャツで、洗濯後にしわになりにくいozieのワイシャツ5種類という動画を別にUPしておりますので、ご興味あればぜひご覧くださいませ。
(ページ下部にリンクをご案内しております。)
♦まとめ
【形態安定シャツとノーアイロンシャツってどう違うのか?】
洗濯後のシワができにくいシャツの総称としていずれも使われているが、形態安定はシワの出現に関する基準があるが、ノーアイロンには基準がない
【形態安定シャツとノーアイロンシャツはどちらが防シワ性が強いんですか?】
イメージ的にノーアイロンシャツは防シワ性が強い印象だが、基準がないため本当に防シワ性が強いかわからないので比較できない。
形態安定シャツにはW&W(ウオッシュ&ウェア)性という等級で比較することができるが、単純にこの数値を比較すればいいかと言われればそうではないと考えています→シワの付き方の許容範囲は人それぞれなので
※洗濯後の防シワ性重視でワイシャツを選ぶなら、そもそもシワの出来にくいシャツ生地の綿100%より、素材の構造的にシワの出来にくいポリエステル100%・綿ポリエステル混紡・ニット生地といった素材を使ったワイシャツを選ぶのがおすすめ。
♦関連商品・動画紹介
⇒ オジエで販売しているポリエステル混・形態安定シャツ商品一覧
⇒ イージーケア加工と形態安定加工の違いってなんですか?(動画)
⇒ 洗濯後にしわになりずらいozieのワイシャツ5種類(動画)