2019.12.09 / いいシャツ生地って丈夫でしっかりしているんですよね?
今回はお問い合わせによくあります以下の質問についてお応えします(^O^)/
「いいシャツ生地って丈夫でしっかりしているんですよね?」
”良い生地” の定義はとっても誤解されやすいんです^^;
そもそも ”良い生地” の定義は人それぞれ違うと思います。
お手入れがしやすいものが良い生地と思う方もいると思いますし、厚地でしっかりした生地が良い生地!という方もいると思います。
実際には、プロでないと見た目だけでドレスシャツ生地の良しあしを判断することは難しいです。
では、一体どうやって良い生地を判断すればいいのか?
また、良い生地の特徴について業界の一般知識としてご紹介していきます。
目次
♦良い生地=「番手が良い」
専門用語を使うと良い生地は、「番手が良い」という表現をします。
また、細番手、高番手といった言い方もします。
(このブログでは ”綿” の番手として話をしていきます。)
●番手とは?
簡単に言うと、糸の太さを表す数字(単位)のことです。
実際は一定の重さに対しての長さになるのですが・・・非常にわかりずらいので糸の太さと思っていただいてOKです^^
数字が高くなればなるほど糸が細くなり、光沢感が増し美しくしなやかな生地になります。
そして、細い糸を使用した生地の方が高級で値段も高くなり一般的に ”品質が高い良い生地” となるんです。
番手の使われ方としては、例として「80番手双糸」などとなります。
これは80番の単糸を2本撚り合わせて1本にしている糸という意味です。
2本撚っているので丈夫で肌触りがよく、風合いが良いという効果が大きいのが特徴です。
番手の大きい細い糸(80番手以上)は双糸にすることが多く、双糸使いの生地は、「単糸」使いの生地よりも肌ざわりがよくなります。
例として、40番手単糸や50番手単糸よりは、80番手双糸、100番手双糸の方がいいよね!となります。
なんだかちょっと考えてしまいますね。笑
オジエの商品ページには、仕様表部分にほぼ番手が記載されていますのでチェックしてみてくださいね ^^
♦細番手生地の特徴1 ~肌触りは?~
細い糸を使用した生地は、サラッと肌触り良くソフトな着心地になります。
細番手になればなるほど、滑らかさやソフト感、肌触りの良さはアップします。
80番手双糸よりも100番手双糸。100番手双糸よりも120番手双糸を使用した生地の方が肌触りはいいよね!
となります。
♦細番手生地の特徴2 ~厚いか薄いか?~
特徴1だけを思うと、細番手の糸を使用した生地が良いのだ!と簡単に思いがちですが・・・
ここに落とし穴があります(^^)!
もし、厚手で丈夫なものが良い生地だよね~と思っている方でしたら・・・細番手を使用した生地はその方にとっての良い生地ではありません。
なぜなら、細番手の生地は、厚い薄いで言うとやはり少し薄さが出るからです。
いくら2本に撚ったとしても、そもそもの糸が細いので厚みが出ず繊細な仕上がりになるんです。
また、薄さ=透け感にもつながりますね。
●値段が高くて良い生地=生地が薄め!と思っていただいていいでしょう。
例として、80番手双糸とさらに倍くらいの細番手を使った場合、
”80番手双糸”の方が生地に厚みがあり、160番手双糸のような細番手は薄いということになります。
織り方や加工方法によっても生地の厚さは変わります。
ですので、同じ細番手の糸を使用しているからと言って全ての生地の厚さが同じという訳ではございません。
しかしながら、細番手生地の大きな特徴として ”薄め” であるということを参考にしていただければと思います。
♦細番手生地の特徴3 ~丈夫でしっかりしている?~
さて、生地が良くなって値段が高くなると生地が丈夫でしっかりしているんじゃないかと思う方が多いですが・・・
実は番手が高くて糸が細くなると生地が弱く繊細になるんです。
また、丈夫かどうか?で言うと、これは ”番手” だけで判断することはできません。
「打ち込み」によっても生地の良しあしを判断します。
●打ち込みとは?
1インチ間に使われる経糸・横糸の本数のこと。
簡単に言うとどれだけの糸が使用されているか?を表すものです。
打ち込みが多いものを「打込みが強い」「ハリ、コシがある」などと言い、糸密度の高い丈夫な生地になります。
透け感も少なくなります。
打ち込みが少ないと、生地が甘くなり柔らかさが出る分ハリやコシがなくなります。
透け感もでます。
なので、打ち込みが多い方が丈夫で透け感の少ない生地になりますね。
基本、細番手のものは糸が細いので本数を沢山使用し薄くならないようにしますが・・・やはり細い糸なので限界はあります。
よって丈夫であるとは言い難く繊細な弱めの生地となります。
この打ち込みは専門的過ぎるうえ、その部分を気にされる方もほとんどいないので一般的にお客様に情報提供されることはないと思います。
実際に質問された場合、生地サンプルに本数表示がない場合はわたくし共も生地屋さんに問い合わせをして確認する!ということになります。
ただ慣れてくると、生地を触ると打ち込みが多いか少ないかはなんとなくわかってきます^^v
♦細番手生地の特徴4 ~お手入れは?~
実は、良い生地というのは、しわが付きやすいです(>_<)
糸が細いと柔らかさが増しシワが付きやすくなるんです。
そして、一度シワが付いてしまうとなかなか家庭アイロンでは奇麗に伸ばすことができません。
よってお手入れが楽かと言われると、そうではありません。
●良い生地=洗濯後のしわがアイロンがけでとれにくい!と思ってください。
しか~し、オジエでは細番手生地を使用したシャツを少しでも手軽に楽しんでいただきたいという思いから、
ほとんどの120番手双糸生地を使用したシャツには「イージーケア加工」を施しております。(^^)b
イージーケア加工=アイロンがけがしやすい・本来よりかはシワが伸ばしやすい加工(防シワ性はございません)
細番手の高級生地に加工を施すことは業界ではほとんどありません。
良い風合いの生地になぜあえて風合いが落ちる加工を施すのか!?ということなんです。
なので細番手シャツにイージーケア加工を施しているのは、着用される方の利便性を考えたオジエオリジナルの特注生地なんです(^^♪
一般的にはイージーケア加工を施したことによる生地の風合いの違いはほとんどわかりません。
120番手以上の細番手を使用したシャツは、クリーニングに出すことをおススメいたします。
クリーニングのプレスは強くて強力なのでシワは伸びます。
ここで注意!!(^O^)/
細番手生地は繊細なので頻繁にクリーニングに出すと強力なだけに生地が早く傷んでしまいます。
場合によっては衿の付け根や、カフス周りの生地が擦り切れてきてしまった!ということにもなります。
覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
対策としては、細番手の良い生地のシャツは頻繁に着用しない!
クリーニングに出す際にはできるだけ良いコースのものをお選びください。
そう、良いものはお手入れもそれなりに必要です。
高級の靴やコート、スーツなどもそうですよね!
毎度のお手入れと季節ごとのお手入れ、しまい方にも気を使います。
大事に扱いましょう♪
♦デイリーユースで使うならどんな生地がおすすめ?
良い生地の説明をここまでしてきましたが・・・
細番手生地は繊細で弱い!では毎日着るにはどんな生地がいいのか?と思いますよね。
ワイシャツ生地の中では ”80番手双糸” がデイリーユースに最適です(^_-)
80番手双糸は、厚さ・肌触りのバランスがよく、生地がしっかりしていてソフトで透け感も少ないです。
(織り方や加工によっては生地感に多少の差があります。)
上は120番手双糸までが限界かと思います。
120番手以上の細番手生地シャツを好まれる方は、
バリエーションを豊富に揃え、1着の着用頻度をできるだけ減らしましょう♪
♦まとめ
良い生地は、
1、番手がいい(細番手・高番手)
2、値段が高い
3、薄く繊細で弱い
4、シワが付きやすい(シワがアイロンがけでとれにくい)
5、肌触りがよくサラッとしていて着心地が良い
よって、冒頭の質問に答えると、
Q: いいシャツ生地って丈夫でしっかりしているんですよね?
A: そうではありません。薄くて繊細です。
となります。
海外では、ワイシャツは元来ジャケットの下に着る下着のようなものだったんです。
なので肌触りがよく着心地がいいものが本来の目的には合っています。
しかし、現代ではシャツに求める用途は人ぞれぞれ。
加工された生地も色々出ております。
良い生地ということだけでなく、ご自身の目的とお好みに合ったシャツをお選びください(*^^*)
♦動画
上記の内容を10分ほどの動画でご紹介しております。
是非ご覧ください♪